趣意書

 中央アルプス、南アルプスの造山運動と天竜川の侵食によりつくられた伊那谷は、3万年以上の古きよりこの地で生きてきた人々をはぐくんできました。
 いまなお豊かな自然とともに生きる伊那谷に暮らすわたしたちの先達は、1924年(大正13年)に、信南自由大学(後の伊那自由大学)をつくり、その趣意書に「民衆が労働しつつ生涯学ぶ民衆大学、すなわちこの自由大学こそは教育の本流だと見られなければならぬことが、強く主張せられるに至った」と宣言しました。

 それから61年後の1985 年に、ユネスコが「学習権宣言」を採択し、成人における学習の重要性を世界に訴えました。私たちは、この宣言のはるか前に、伊那谷の地でその精神を現実のものとした先達の卓見と教養の深さに、強い衝撃を受けます。

 ひるがえって、いまの私たちの学びと精神活動の場はどうでしょうか。
 社会格差という言葉に象徴されるような理不尽な社会現象、イラクへの派兵といった政治の動きの中で、どれほどの学びの場や研究の場を用意してきたでしょうか。また、急速に進む高度情報化社会とボーダレス化、地球環境の悪化、少子化などに対する正確な理解が無ければ、この国の主権者として活動できませんし、そもそも一人前の社会人とも呼べないのではないでしょうか。
 いま学校教育の危機が叫ばれていますが、社会教育、成人の学習はもっと深刻な危機の中にあります。

 そこで私たちは、83年前に信南自由大学が掲げた精神を受け継ぎ、この地に「地域を知る、日本を知る、世界を知る、おとなの学び舎」として「竜援塾」を設立することを決意しました。

 「竜援塾」は、誰もが参加できる自由な学校です。天竜川をはさんで暮らすどこの町、どこの村にも教室が実現することを目ざします。
 地域、全国、そして世界の人々の生活と文化をいつも頭に描き、交流し、共に生き、共に学ぶ、共生の大地を拓く学校として「竜援塾」は始動します。


                             2007年3月1日       竜援塾運営委員会
 伊那谷から世界を見とおす力を磨く 本文へジャンプ
趣意書













































































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